会場には満杯のお客さん。どんなLIVEになるのか誰も予想がつかないせいだろうか、全員が静かにTamaの登場を待っていた。ただ、その静けさの中には、これから始まる夜に期待をしている様子が感じられた。
 照明が落ちると、自然と拍手が湧き、お客さんはドッとステージ前へ押し寄せた。そこへ、ハットにサングラス、そしてシングルのジャケットでも着用したロザリオを胸に揺らしながらTamaが登場。歓声を浴びつつも無言のままステージ中央に立ち、右腕を少しカーブさせながら高く上げ、そのてっぺんでピックを握った指を動かす。本人が自覚しているかどうか不明だが、これはTamaが気迫に満ちている時のポーズだ。久々のステージで、そんな変わらない姿が観られたことにニヤリとしていると、ベース音が響き渡る。 1曲目はこのLIVEのタイトルにもなっている、1st.シングル『Metal Cool』。客席は「ワァ〜!!」という声を響かせると同時に、あっという間にビートに乗っていった。演奏が終わると、「Tama〜!!!」と歓声が起こり、ベースを高く突き上げて無言のままそれに応える。まさにCoolだ。ただ、まだ少しTamaとお客さんたちの間には、お互いを探るような距離感があるように思えた。
その距離感を一気に縮めたのが、赤い照明で雰囲気をガラリと変えた2曲目の『Strange Days』だ。時折、会場全体をフラッシュ・ライトが刺激し、更に客席の熱気を煽る。
曲が終わると、Tamaはお客さんの顔を見ながら、話し始めた。「“Metal Cool Night”へようこそ。寒い中、本当にありがとう。最初のシングルからチェックしてくれて、本当に感謝しています。ありがとう。今日は、全部歌います。全部新曲です。今後の方向性を感じてもらえたら嬉しいです。」
 『Metal Cool』のミュージック・ビデオ通り、まさに硬い壁を打ち壊すようなROCKテイストの強い曲を演奏していたのに、MCとなると会場全体が穏やかなムードになるから不思議だ。また、Tamaの声を聞いて、グッときているお客さんも見受けられた。こうしてずっと自分を待ってくれていた人たちからの笑顔・拍手・歓声を受け、Tamaは緊張の中に嬉しさが滲んで来ているようだった。本人の言葉にもあった通り、この日はリリースしたシングル以外は全部新曲という、ある意味、異例のLIVE。待っててくれた人たちへの感謝の気持ちは、このLIVEを楽しんでいってもらうしかない。サングラスの向こうの目に、さらに気合いが入ったはずだ。
 そしてここから新曲の披露が始まる。ストレートなラヴソングである『Natural Born』、Tamaいわく“ギンギンなやつ”こと『Find The Way』。客席は揺れ、拳が突き上がる。全員が初めて耳にする曲のはずなのに、好みの歩幅がぴったりな感じだ。
 そして、2回目のMC。ここで、このあと話す“ありのままの自分”の予告的に、サングラスを外すTama。
「今日は、本当にありがとう。すごく遠いところからも来てくれたりしとるんじゃろう?」客席からは、京都・北海道・岡山など、様々な地名が挙がり、その声1つ1つにTamaの感謝の気持ちが積もっていくのがわかった。「ほんまに来てくれてありがとう」。久し振りに会えた喜び、初めて会えた喜び、そして、そんな中で新しい音楽を一緒に楽しむことが出来る喜び。「今年は自分のやりたいことが明確に見えた1年じゃった。オレはどういうことをやっていきたいんだろうって、すごい考えたんよ。結論としては、みんながこうして沢山のパワーをくれるから、今度はオレがそれ以上のものを返す。ただそれだけ。それが僕のしていきたい活動です」。実にシンプルだけれど、言葉の中に秘められた芯のある想いはお客さんの元へしっかりと届いたのだろう。温かい拍手が沸き起こり、「これからも宜しく」というTamaの声が明るく響いた。
5曲目の『Slow』はオレンジの照明が優しい雰囲気を生み出し、ここまで演奏してきた4曲とは全くカラーの違う、しっとりとした繊細な音を奏でていた。
そして、再びMC。「メンバー紹介をします。すごい気になるじゃろう(笑)?」今回のメンバーは、キーボード:須藤豪さん、ドラムス:菊地英二さん、ギター:塚本史朗さん、マニピュレーター:nang-changさん。1人ずつ紹介するたびに、「ほんまにエエ出会いをしました。Happyな人だし、Happyな演奏をしてくれます」と嬉しさ満面の表情。どうやら、今、Tamaの中では“Happy”という言葉がキーワードとなっていて、それをとても大切にしているような気がした。
 そして、LIVEは早くも後半戦に突入。「2nd.シングルにしようと考えている」と語っていた『行列パレード』は本人いわく、やっぱり“ギンギンな曲”で、じりじりとにじり寄ってくる解放された空気の中に、「信じてみようよ」という詞が際立つ。
 ドラム、ベース、テルミン、キーボードのソロが続くのが印象的な『The Party』。ピアノの音から始まり、デジタルな音への変化が未来を感じさせた『Wild Adventure』。まっすぐと一点を見ながら歌うTamaの目の中には、何か心の奥深くからみんなに伝えたいと思う想いと、それを表現することの難しさ、表現する場所があることへの喜びなど、様々な感情が入り混じっているように見えた。そして、そんな素直な感情は、聴く人の心の中に突き刺さっていくようだった。曲が終わって一言。「こんな感じなんですよ」。ただそれだけだった。けれど、多分、お客さんには全部伝わっていたと思う。
Tamaの魅力の1つでもある、奏でる音楽とトークのギャップ。確かに最初は、このギャップに驚くかもしれない。でも、LIVEが進むうちに、これがギャップではなく、スピーカーで言うところの右と左……出る音は少しずつ違うけれど、左右揃って初めて曲の全部の音が表に出ている……この繋がりに似ていると気付くはず。この日も、そのTamaスタイルは終始健在。
 次の曲で最後だと告げると、会場から「えぇ〜っ!!!」といった嬉しい悲鳴。それに対し、今日の主旨を説明したり、こんなに喋るのは過去最高だと、必死に“言い訳”をするTama。ついには、「“本編”最後の曲です」と、Tama節を炸裂させていた。
 最後の曲は『運命を君をも曲がりくねっているRoad』。この曲はグッと引き寄せる何かを持っていて「Come On!」と言うTamaの声に乗って、ステージの中央に向かって一気に沢山の手が集まっていった。ベースを高々と上げ、音が止むとTamaはステージを後にした。
 会場から沸き起こった拍手がやがてどこからともなくTamaコールに変わり、だんだんと速くなり、やがて鼓動のような速さに。それに応えて登場したTamaは、「ありがとう!! 」と深く頭を下げ、「来年はシングルを出して、アルバムを出して、ツアーをやりたいと思います!」と高らかに宣言。会場からは、この日一番大きな歓声が上がった。こうして始まったアンコール1曲目は、『Futures』。そして、映画「DEATH NOTE」のトリビュート・アルバムに収録されることになった『Strange Days』を、「今日は“Metal Cool Night”じゃけど(笑)……もう1回演りたいと思います!」と、最後に再度盛り上がった。
 そして、Tamaを中心にメンバー全員で前に出て、大きく中央でお辞儀をし、“Metal Cool Night”は幕を閉じた。しかし、全員がステージを後にした後も、誰一人としてお客さんは帰らず、Tamaを呼び続けていた。その声たちは、あまりに大きかった。やがて声に引き寄せられたように、Tamaが再び登場。そして、マイクを通さずに「ありがとう! 今度はツアーで会いましょう!! 」と叫び、ステージに伸びてくる沢山の手たち全てと握手を交わしていった。
 このLIVEを一言で表すなら、沢山の感謝と喜びに溢れた“HappyなLIVE”だった。音楽の持つ「自由」、そこへの「挑戦」、それを期待してくれている人たちの「存在」……ミュージシャンにとって何よりの“Happy連鎖”であることをTamaは痛感し、今後のエネルギーに繋げたはずだ。
 LIVEに来られなかった方も、メロディの強さと多様さ、更にそこに様々なものがエッセンスとして加わりTamaの音楽が進化を続けていることを、このLIVE REPORTで少しでもイメージを膨らませて頂き、来年行われるであろうLIVE TOURで実際にそれを感じて頂ければ幸いだ。

●Tama公式サイト
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